(前回からつづく)
ウダ 映画はまず監督に惚れないといけないと。何度NG出されても「捧げます」っていう感じなんでしょうか。いや、そもそもNG出されたってことが、山﨑さんはほとんどないのでは……?
何度NGになってもそれは同じです。捧げるんです。NGを出したことは、もう山ほどありますよ(笑)。前に書いたけど、豊田四郎監督ね。あの人にはやられたな。本当に参った。何やってもダメなんだもん。まあ僕が下手だったんだろうけど。あれはちょっと意地悪だったんじゃないかな(笑)。
ウダ 『「俳優」の肩ごしに』(文春文庫)で書いておられましたね。少し経つとターゲットが違う人に移っていったそうですから、多分意地悪ですね(笑)。
そうそう。物作る人って全てが上手くいってると不安なんだよ。こんなはずはない、上手くいきすぎてるな、と。どこか具合が悪いところがあるはずだっていう意識が働く人がいるんだと思うよ。その不安を解消するために、わざわざ気に入らないところを作っちゃう。そして快調に進んでる現場の動きにストップをかける……。考えすぎかなあ(笑)。
黒澤明さんなんかは、イケイケタイプだね。自分がいいと思ったらそれでいい、不安になったりしない。「ゴー!」っていうタイプだけど。もっとこう、別のタイプの人がいて、「いや、こんなに上手くいってるのはなんかおかしい」「どっか変なんじゃないか」っていう。それは分からなくはないんだよね、その神経は。物作る人間としてはあってもおかしくないよね。だから何にもないと、自分から起こしちゃう。いや自分の演技の下手さを棚に上げての話ですけどね。
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source : 週刊文春 2026年6月18日号






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