キクチ 自伝『「俳優」の肩ごしに』(文春文庫)では「素人に見えるくらいにうまい」演技を理想と書かれています。「言葉にする以前のもやもやした感情」を表現したかったとも。同じようなことを考える俳優の方は周囲にはいたんですか。
少なくとも一緒に工夫した仲間はいなかったね。僕は1959年(昭和34年)に俳優座養成所から憧れていた文学座に入った。僕が思い描いていた演技が出来そうな気がした。というのも、文学座には杉村春子さんのようなオーソドックスな人から、芥川比呂志さんのような知識の豊富なレベルの高い、深い演技をする人まで、いろんなタイプの俳優がいたから。勿論僕は芥川さんが好きだった。
1963年(昭和38年)に芥川さんたち文学座のメンバーが結成した劇団「雲」に参加した。「雲」には11年いてやめた。そういうものなんだね。だんだん自分の演技とそぐわなくなってくれば、ひとりになるしかない。
初回登録は初月300円で
すべての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2026年7月30日号






お気に入り記事