(『俳優のノート』と出会ったことで50歳を前に俳優を始めたキクチが訪ねてきた)
キクチ 以前、昔の俳優よりも今の俳優のほうが優れているというお話をされていましたね。
うん。もちろん、俳優と言っても初心者からプロまで様々な人がいるから、全員が全員というわけではないけれどね。前にも書いたけど、僕がこの仕事を始めた70年前の演劇、殊に僕が関わった新劇は、とても古臭い世界だった。俳優は演出家に指導を仰ぐ。演出家は劇作家に従う。劇作家・演出家・俳優という上下の階層があって、そのなかで演技の勉強をしなくちゃいけないと教育されていたんだ。
演技というのは、自分の内側を探らなければ何も生まれてこないのに、外に学ぶことがあると思い込んで、外ばっかり見ていた。うまい人、例えば劇団の先輩たちの真似して技術を盗もうとする。
それが今は変わったね。主役クラスの俳優も端役でドラマにちょっとだけ顔を出すような人でも、自由に、自分のフィーリングで芝居をしている、と感じられるようになった。ワークショップなどを通じて、内側から出てくるものがないと価値がない、俺は俺だという考えが若い俳優の中に浸透してきたみたいだね。
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source : 週刊文春 2026年7月23日号






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