49歳でのデビュー以来、時代小説を中心に大活躍を続ける直木賞作家の朝井まかてさん。新刊にちなんだ占いのこと、作家になるまでのお仕事のお話など、朝井さんの関西弁が香る爽やかなトークをお楽しみください。

 

(あさいまかて 1959年、大阪府生まれ。甲南女子大学文学部卒業。2008年、小説現代長編新人賞奨励賞を受賞し『実さえ花さえ』で作家デビュー。14年『恋歌』で直木賞、26年『どら蔵』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『眩』『雲上雲下』『類』『ボタニカ』『グロリアソサエテ』など。)

 

阿川 4月に出された『豆は煮えたか』、面白くて一気に読んじゃいました。あっぱれじゃ(笑)。

朝井 「あっぱれ」いただきました(笑)。嬉しい。

阿川 主人公のお玉は水茶屋を営む女将でありながら、人の「人生のつかのまが見える」という不思議な力を持っている。そして、符牒の「豆は煮えたか」という言葉をお玉に伝えると、自分の未来を占ってもらうことができる……。この設定はどういうきっかけで生まれたんですか。

朝井 「オール讀物」から短編を依頼されたときにまず、大きな椎の古木、その幹に寄り掛かるようにして開いている、お店の絵が浮かんだんです。崩れかけの、しがない水茶屋で、あるじは女の人。でも商いものや料理小説は優れた作品がすでにたくさんあるので、あえて商い下手の中年のおばさんを主人公にしました。

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source : 週刊文春 2026年7月9日号