【前回のあらすじ】これは事実に基づいた物語である。父・秀一、母・亜弓のもとに生まれた耀。血液型検査がきっかけで、耀が秀一の実子ではないことが発覚し、両親は離婚に至った。秀一は7歳年下の瀬里と再婚し、引き取った長女の紗香と暮らす。ある日秀一は、銀座で亜弓と耀を見かける。その夜、かつて2人に実家のタンス預金1000万円を盗まれたことを思い出した。
結婚後に亜弓が意外に数字に強いのを知って、預貯金の管理を全面的にまかせていた。
「リスク回避のために口座を複数に分けたほうがいい」と説得されて、それも好きにさせた。三つか四つの銀行に口座があるのは知っていたが、具体的な内容は把握していなかった。さらに、離婚のごたごたの処理で手一杯で、通帳の残高確認も後回しになっていた。
しかし実家の事件を聞いて急に不安になり、あわてて調べた。小型の金庫に、複数の通帳があった。どれも記帳の日付が離婚騒動の前で終わっている。それに、定期預金の類がなかった。いくら資産運用しないといっても、定期預金ぐらいはしてもよかったのではないか。秀一自身はネット取引もしていなかったので、詳細はわからない。
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source : 週刊文春 2026年7月30日号






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