1945年8月6日午前8時15分。米軍のB29爆撃機エノラ・ゲイが投下した原子力爆弾は、広島県広島市の上空約600メートルで炸裂し、巨大なキノコ雲を発生させた。爆心地から東に約1.9キロ。陸軍の高射砲兵だった松坂亀一(かめいち)さんは、国鉄広島駅にいた。

 

 突然あたりが光ったかと思うたら、物凄い音と衝撃がありましてね。私はたまたま大きなジャガイモ袋のそばにいて、爆風の直撃を逃れたんですが、衝撃からか、被っていた鉄帽が飛んでなくなっていました。

 あの日は、朝方、山口県から広島駅に着いたばかりでした。山口では油谷湾で海に機雷を落としていく米軍機を迎撃する任務に就いていました。やがて、今度は「広島が危ない」と、私らの部隊は広島に向かうように命じられたんです。

 広島駅では、汽車に積んできた8門の高射砲を降ろして、所定の場所に運ぶ予定でした。そしたら、ピカッ、ドーン!と。たった1個の新型爆弾が、大きな広島の街を一瞬のうちに焼き払ってしまったんです。

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source : 週刊文春 2026年8月13日・20日号