【前回までのあらすじ】これは事実に基づいた物語である。父・秀一、母・亜弓のもとに生まれた耀。耀が秀一の実子ではないことが発覚し、両親は離婚した。秀一は瀬里と再婚。アパート火災により亜弓が死亡し、引き取りを打診された秀一の家で耀は「お試し泊」をするが、瀬里が事故に遭う。その後、小学5年生になった耀の同級生・西野栞里は、野々山豊佳に目を付けられていた。
さっそくその日のうちに行動を起こした。まずは噂を立てるところからだ。
――栞里って、転校生の男子に色目使ってたよ。
――なんか、メモみたいなのを渡してた。
――あ、それ、見た見た。転校生のほうも、嬉しそうにしてた。
休み時間、下校の途中、放課後公園に集まっての遊びを兼ねたおしゃべりの場などで、取り巻きも一緒になってそんな噂を流した。さらに、噂を流す途中で思いついたことをさっそく実行した。
登校班に断りを入れて、その朝豊佳は一人だけいつもより早く登校した。そして、用意しておいたメモを耀の一つ前の、おしゃべり好きの女子の椅子の上に裏返して置いた。ごみと間違えて捨てられないように、人気のキャラクターのメモ用紙を使った。
「あ、なんだろこれ」
案の定、その女子は自分の椅子の上に置かれたメモ用紙を拾い上げた。裏返し、やや眉をひそめてそこに書かれた文字を読む。読み終えるなり、表情が一変した。
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source : 週刊文春 2026年8月27日号






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