【前回までのあらすじ】これは事実に基づいた物語である。父・日下秀一、母・亜弓のもとに生まれた耀。耀が秀一の実子ではないことが発覚し、両親は離婚した。秀一は瀬里と再婚。火災により亜弓は死亡した。施設に預けられた耀は、秀一の家に「お試し泊」をするが、姉の紗香も含め4人で出かけた商業施設で、妊娠中の瀬里が転倒事故に遭う。年末、耀はまた「お試し泊」に来た。
「断りたかったんだけど、毎年恒例だし、大事な客だからご機嫌を損ねるわけにはいかない。もちろん、途中で抜け出して新年を迎える前には帰ってくる」
パーティー参加をそう切り出すと、瀬里は意外なほどあっさりと受け入れた。
「こっちは3人で『紅白』を見ながら“年越しパーティー”をするから気にしないで。たぶん、2人ともあなたが帰るまでに寝ちゃうと思うけど」
のちに秀一は、この判断を悔やみ、自分を責め続けることになる。
もしもこの夜にパーティーに出席さえしなければ、あるいはもっと早く帰宅していれば、あの悲劇は防げたかもしれない。それこそ何万回と知れず、おのれを責め、悔いた。
もしも人生にやり直しがきくものなら、あの日にもどって、ずっと家にいるのにと。
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source : 週刊文春 2026年9月17日号
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