たまに、こつんと音がする。
書くという行為は、文字を拾っていくような感覚。文字は無限にあり、脈絡なく空中を漂っている。それを拾い、組み合わせる。言いたいことや雰囲気が、近かったり、遠かったり。あっちへうろうろ、こっちへふらふら。どうにか道らしきものになってほっとする。先人たちが切り拓いてきた匂いのする獣道を、スタッフの皆様のお力をお借りして。締切というものが恐怖ではあったが、助けられもした。際限なく続く答えのない行い、それを強制的に完成までもっていかせる力が締切だった。ありがとう締切。まさか締切に感謝する日が来るとは。そもそも、自分がエッセイを書くことがまさかなのだが。
初回登録は初月300円で
すべての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2026年9月24日・10月1日号
お気に入り記事