【前回までのあらすじ】これは事実に基づいた物語である。父・日下秀一、母・亜弓のもとに生まれた耀。耀が秀一の実子ではないことが発覚し、両親は離婚した。秀一は瀬里と再婚。火災により亜弓は死亡した。耀が秀一の家に「お試し泊」をした大晦日の夜、火事に見舞われる。耀は裕福な桑原夫妻の養子になった。耀が小学4年生の時、同級生の横田幸也がプールで溺死する。
横田幸也が通っていた小学校は公立だったが、全国平均でみれば家庭の平均収入は多かったようだ。その中でも、幸也は目立つ存在だった。
小学生は普段着にスポーツウエアを着ることが多い。似たようなスポーツブランドでも、モデルのランクやレア度で価格は大きく変わってくる。2倍、3倍の開きはごく普通だ。
幸也が身に着けているのはつねに「高いほうのやつ」であり、幸也もそれをクラスで自慢していた。Made in USAのマウンテンバイクに乗り、腕時計はプレミアのGショックだった。そしてそれを自慢し、買ってもらえない家の子をあからさまに蔑んだ。
「おれのお古でよかったら、Tシャツやろうか。カレーのシミがついちゃったやつ」
ごく日常的にそんなことを言ったらしい。
「亡くなった人をあまり悪く言いたくないけど、嫌みなやつでしたね。だからって、死んで嬉しいとまでは思いませんでしたよ。もちろん」
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source : 週刊文春 2026年10月8日号
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