私の生家は築100年超の農家の佇まいそのままだが、二代続けて農業を継いでいない。父は歴史学、私は土壌学に夢中になった研究者であり、家庭では放蕩息子の類だ。父は木簡や和同開珎などの歴史考古学に精通し、私は年輪や火山灰という環境考古学を武器としている。親子二代の考古学者といえば、映画のヘンリー&インディ・ジョーンズ親子と同じだ。父が深掘りするのは史料・文献、私が掘るのは財宝ではなく土だ。
大きく括ると世界には12種類の土があり、そこに根差した暮らしがある。それを自分の目で見たい一心で各地に足を運んできた。稲作の起源は中国だが、夏作物の栽培文化はアフリカ、インドとも繋がる。モンスーン気候に加えて、ケニアにはアフリカならではの赤土の他に、インドと同じ粘土質でひび割れしやすい黒土があったためだ。しかしケニアで稲作をしようとすると土がそれを拒む。土の研究者の出番だ。
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source : 週刊文春 2026年10月15日号
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