炎天下で穴を掘る土の調査をしている時だけは、自分の選んだ道はこれで正しかったのかと自問する。泥まみれになって冷房の効く車内に逃げ帰る。
「藤井さん、汚れてます」という声に「心配ありがとう。僕、これ慣れてるから大丈夫」と返す。「そうじゃなくて、車が汚れるんで」という声を聞いて、あー、またやってしまったと気付く。土を汚れと思わないのは私だけなのだ。穴があったら入りたい。
そんな私も野外調査中のおにぎりは手を洗ってから食べるようになった。たいていの細菌なら口に入っても胃酸で勝てると思っていた。ところが、顕微鏡で土の中の水を泳ぐ線虫を見てから、気持ちが変わった。
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source : 週刊文春 2026年10月22日号
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