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立民代表選報道は滅びの印

新聞不信

「週刊文春」編集部
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 筆者が報道の中立性を気にしても仕方ないのだが、この欄で自民党総裁選のことを何度も書いた後である。一応は立憲民主党代表選を巡る報道もチェックはしていた。

 だが、余りにあっけらかんとした様子に、叩こうにも叩き甲斐のないこと甚だしい。

 例えば、候補者4人による日本記者クラブ主催の討論会を報じた朝日の11月23日朝刊の1面記事である。

 見出しには「共産と閣外協力『見直す』 討論会で言及相次ぐ」とあり、さすがに反省したかと一瞬だけ期待したのだが、記事を読み進めるとどうやら、様子が違う。

 逢坂誠二氏は「国民感覚から相当ずれていた」と認めつつも、共産党とは「もう一度話し合う」と語るばかり。小川淳也氏も「何を意味するのかが(国民に)伝わらなかった」と言い、泉健太氏も他の野党とも歩調を合わせる重要性を訴えるだけで、西村智奈美氏も「上から急に決まったような形では、党員の理解を得るのは困難」と語った。

 これのどこが「見直し」なのか。「おためごかし」ではないか。少なくとも、同じようなことを岸田文雄首相らが答弁したなら、立民も新聞も全力で叩くに違いない。

 さらに、驚きを越えて笑うしかないのが世論調査だ。

 毎日が13日に行った調査では、携帯電話で回答した747人中、「代表にふさわしい」人の1位は蓮舫氏で29人(4%)、2位は28人(4%)の小川淳也氏で、3位は枝野幸男氏の続投を望む18人(2%)だったそうな。因みに「無回答」が4割に上ったと記事にある。

 総裁選から衆院選まで予想を外しまくった世論調査も酷かったが、1桁台の政党支持率しかない政党の代表選びでお決まりの「人気投票」を続ける神経を疑う。「4%」の闘いで終わった結果を見て掲載を「見直す」声は社内にはなかったのだろうか。

 権力闘争丸出しの自民党総裁選もどうかとは思うが、立民代表選は候補者4人の討論も妙に和気藹々として、尖った政策論争も結果が読めぬ緊迫感もなく、それを指弾する報道の筆の厳しさもない。

 太宰治は正しかった。「右大臣実朝」の名文句の通りだ。

〈明るさは、滅びの姿であろうか。人も家も、暗いうちはまだ滅亡せぬ〉

source : 週刊文春 2021年12月9日号

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