中村吉右衛門“鬼平秘録” 喜んだ池波正太郎の一言 

「週刊文春」編集部
エンタメ 芸能

「3月に倒れてからずっと入院していると聞いていて、心配していました。なんとか回復してくれることを願っていたんだけどね。残念だよ、本当に……」

 暁星小学校からの級友で作曲家の村井邦彦氏はそう語り、親友と歩んだ歳月に思いを馳せた。

 歌舞伎役者・中村吉右衛門(本名・波野辰次郎)、享年77。3月28日に歌舞伎座で石川五右衛門を演じた後、知佐夫人と都内ホテルで食事中に倒れ緊急入院。加療を続けたが、11月28日に病院で息を引き取った。

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 67歳で人間国宝に認定、73歳で文化功労者に選出。稀代の歌舞伎役者の栄光の裏には、知られざる苦悩の日々があった――。

 1944年、初代松本白鸚(高麗屋)の次男として藤間家に生まれる。兄は昭暁(てるあき)(二代目松本白鸚)。4歳で、母方の祖父である初代中村吉右衛門(播磨屋)の波野家に養子に入る。

 天真爛漫なガキ大将だった幼少期は1954年、初代の逝去で終焉を迎える。養子として10歳で喪主を務め、“播磨屋の跡取り”を意識せざるを得なかった。

 一方、義母である祖母からは「二代は立たない」と、暗に自分の代で吉右衛門は潰れると言われ、兄といつも比較され、外の世界に救いを求めた。村井氏が語る。

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source : 週刊文春 2021年12月16日号

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