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松村北斗が稔さんになるまで 父が家と愛車を手放し上京…

朝ドラ「カムカムエヴリバディ」を10倍楽しむ10の秘密

「週刊文春」編集部
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 好きな登場人物を問う読者アンケートでヒロイン・安子(194票)に次ぐ2位(72票)。雉真家の長男・稔を演じた松村北斗(26)には、「全てが素敵でキュンキュンした」などと絶賛の声が集まった。

“稔さんロス”の声が続出(写真 NHK提供)

 大役を見事に演じ切った松村だが、表舞台に立つまでの道のりは決して平坦なものではなかった。

 小5の時、ドラマ「クロサギ」で主演した山下智久に憧れ、ジャニーズ入りを志す。ところが2度履歴書を送るも音沙汰がなく、返事が来たのは、3度目だった。当時13歳、09年に念願のジャニーズ入りを果たした松村は中島健人、菊池風磨、髙地優吾と4人でB.I.Shadowというユニットで活動。高校進学のタイミングで、静岡から上京することを決めた。

 本人が「ザ・テレビジョン」や「婦人公論」の取材で語った話によれば、Jr.として仕事が続く約束もない状況だったため、一旦は、事務所から「やめておけ」と止められたという。それでも父親が「家を売って、車を売って、職も変えて」家族で上京したのだった。

 だが、夢を抱く松村の前に待ち受けていたのは……。

「上京から僅か1カ月後、中島と菊池がSexy Zoneとして先にデビューしてしまったんです。ユニットは解散状態となり、仕事がほとんどない状況に陥りました」(芸能デスク)

 15年に6人組ユニットSixTONESを結成したものの、なかなかCDデビューには至らない。地道に役者業に磨きをかけてきたが、華やかなジャニーズの中では目立つタイプではないようだ。松村自ら雑誌などでこう語っている。

「自分はジャニーズっぽくない。決めるべきところでバチッと決まらない」

「性格はめっちゃ雑魚(ざこ)キャラっぽい。ゲームやマンガで威勢はいいけど簡単にやられちゃうようなキャラ」

 そんな彼がスポットライトを浴びたのは、昨年1月。SixTONESがCDデビューを果たしたのだ。続いて朝ドラ出演も決定する。

 制作統括の堀之内氏が言う。

「オーディションが初対面で、どんなお芝居をする方かは知らなかったんです。ご本人は『僕は昭和が似合うとよく言われるんです。逆に今の時代のほうが大変で(笑)』とおっしゃっていましたが、学生服のマントと帽子、長い脚という佇まいは本当にカッコよかった。特に第9話、橘家の皆さんに自分の思いを伝えるシーンは、長台詞を一人で語るのですが、リハーサルから完璧だった。あれほど素晴らしいお芝居をされるなんて驚きました」

 橘家の父・金太役の甲本雅裕(56)が、その第9話の演技をこう評する。

「そこが、彼との初共演だったんです。父として『結婚を許すわけにいかん!』と臨んだのですが、稔君と相対した時、思わず『許しちゃおうかな』と(笑)。それほど純粋な気持ちが伝わってくる青年を演じておられて、感心しました」

 この場面に同席していた橘家の祖父・杵太郎役の大和田伸也も口を揃える。

「顔合わせの時は、髪も長めで今風の青年だと思っていたのですが、髪の短い彼にあのシーンで初めて会って、私も思わずときめきました。『いい青年が来た!』と。あれなら安子が惚れたのも、その後も思い続けるのも納得です」

 一方で、現役アイドルならではの苦労もあった。岡山ことば指導を担当していた高野暢子氏が明かす。

「東京でライブやバラエティの仕事をして戻ってくると、せっかく覚えた岡山弁のイントネーションが抜けてしまうんです。そんな彼に、萌音ちゃんは『東京にかぶれて戻ってきて!』と冗談を言っていました(笑)」

 アイドルとして、そして役者として、松村の活躍はTO BE CONTINUED。

source : 週刊文春 2021年12月23日号

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