「こまっちゃうナ」「どうにもとまらない」「狙いうち」など、昭和歌謡史に残る大ヒット曲を放ってきた山本リンダ(70)。最近はテレビで見ることも少ないが、古稀、そして歌手デビュー55年の節目を迎えた彼女は今、何をしているのか。インタビューを申し込むと、応じるという。
「フフ、そうなの。もうそんな年なんですよ」
年齢の話に及ぶや艶然たる微笑を浮かべるリンダ。
北九州生まれの横浜育ち。朝鮮戦争で米兵の父親を失うも母親に育てられ、少女モデルを経て1966年、15歳のとき「こまっちゃうナ」で歌手デビュー。これがいきなり100万枚の大ヒットとなった。
幼さを残すアイドル歌手のイメージが強かったリンダが、突如として“キャラ変”したのが72年。ヘソ出しの衣装をまとい、扇情的に腰をくねらせながら歌う「どうにもとまらない」だった。「エロカッコいい」なんて言葉もない演歌全盛のあの時代、芸能界では浮いていたのでは?
「いえいえ、とんでもない! イジメられたなんてこともなかったですよ。当時は泉アキちゃんとか奈美悦子さん、三船和子さんたちと仲良くさせて頂いていました。でも、昔の芸能界は今と違って労働環境がめちゃめちゃでしたから、ゆっくりご飯に行くといったことはなかったですね。フィンガー5なんてまだ小学生だったのに、真夜中まで収録してましたから(笑)」
芸能界でスターになることよりも「普通の大人として生きていくこと」を求めたのは母親だったという。
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source : 週刊文春 2021年12月30日・2022年1月6日号