談志師匠への御恩返し|高田文夫

談志、志ん朝、小三治… 次の名人を探せ! 文春落語「名人噺」

高田 文夫
エンタメ 芸能

 没後10年となる今秋に刊行された本の中から、談志を知るのに絶好の5冊を厳選して紹介。

 

(たかだふみお 1948年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業後、放送作家に。落語立川流Bコースに入門し88年に立川藤志楼として真打昇進。89年からニッポン放送で「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」でパーソナリティー。著書に『東京笑芸ざんまい』など。)

 

 私の談志師匠とのファーストコンタクトは、日芸(日大芸術学部)3年で落研にいた頃。同期の田島道寛(のちの古今亭右朝)と上野本牧亭で二人会を開く直前だった。『居残り佐平次』を演ることに決めたはいいけど難しい噺。それで師匠へ「ねえ、教えてくれない?」なんて軽いノリで学生だから手紙を書いちゃった(笑)。小ゑんから談志を襲名して、テレビや高座で活躍してるスターにいきなり手紙なんてムチャクチャだよ。

 ところが、その3日後。返事が葉書、続いて封書で届いたの! 「実は私も演るのに悩んでます」「自分は佐平次をドライに描きたい」「学生なんだから楽しくおやんなさい」って書いてある。「噺の舞台が吉原ではなく品川だから遠くで波の音が聞こえたほうがいい」なんてアドバイスも。見ず知らずの若者へ十八番を教えてくれるんだから、心底感激したのは忘れられないよ。

 後年、師匠が語った「親切だけが人を納得させる」というのはホントだね。計算ずくじゃない、落語を愛し、落語を愛する人にも優しくする気持ちで動く。あの時、俺は「師匠の言うことなら全部信じよう」と誓ったもの。40年以上付き合ってきた、放送作家をやりながら立川藤志楼と名乗る弟子として、師匠を知るのに絶好の本を紹介するよ。

 談志入門の書と言えるのが『新釈 立川談志 没後10年 永久保存版』(河出書房新社)。爆笑問題の太田光、桂米朝師匠らとの対談や師匠の文章が入っている。橘蓮二が撮った師匠の写真がいい。チャーミングでね。若い頃にスタンダップ・コメディを演ってた時にはスマートにスーツを着こなしてた。だから後年タンスに仕舞ってるような、ありあわせの服を着ても不思議にキマってたんだ。

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source : 週刊文春 2021年12月30日・2022年1月6日号

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