江戸時代からの土地に、謎の増改築を繰り返した謎の家がアキバの生家です。|緒方恵美

新・家の履歴書 第771回

吉田 大助
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(おがためぐみ 声優・歌手。東京都生まれ。1992年『幽☆遊☆白書』でデビュー。『新世紀エヴァンゲリオン』(95)ほか出演作多数。昨年、自伝本『再生(仮)』(角川書店)発表。歌手としても精力的に活動中で、3月27日、自身が主催するアニメ&ゲームソングの音楽フェス「プレフェス」開催予定。)

 

 秋葉原は今でこそアニメとオタクの街ですが、昔は電気街。秋になると屋上の物干し竿に赤とんぼの群れが止まっていたくらい、自然が残るのどかな下町でした。家の物干し台に小さな天体望遠鏡を置いて、星を眺めるのが好きな子供だったんですよ。

『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジや、興行収入百億円超えとなった映画『劇場版 呪術廻戦 0』の乙骨憂太など、数々の人気アニメで主演を務めてきた緒方恵美さんは、今年で声優デビュー30周年を迎える。ミュージシャンとしての活動も活発化、3月27日には自身が主催する大型音楽フェス「プレフェス」を開催予定だ。
 生家は秋葉原のど真ん中、千代田区外神田の中央通り沿いにあった。

 先祖が江戸時代から住んでいた土地に、謎の増改築を繰り返した結果、謎の家ができあがりました(笑)。大通り沿いに5階建ての細いビルが建っており、その裏に2階建ての一軒家がくっ付いている。両方の建物を連絡通路で行き来しながら、父母と祖母、私と弟二人の6人家族で暮らしていました。

 ビルの1階は両親がやっていた喫茶店がほとんどのスペースを占めていて、壁を挟んだ隅っこのスペースに家族が使うお風呂。2階は、半分は台所と祖母の部屋で半分は会社のスペース。3階には小さな居間とトイレと寝室、子供たちの部屋がありました。6畳の寝室に布団を4枚敷いて、5人で川の字になって寝ていましたね。

 父は日本酒の酒度を測る計器を扱う会社も経営していました。実は百年続く緒方家の家業で、2階の半分がその会社の受付と在庫置き場でした。4階は工場で、工員を雇って、その計器をおもに作っていました。5階は物置。父が家業を継ぐ前の仕事の道具などが収納されていました。

 父は元トロンボーン奏者、母は声楽とピアノ講師をしていた、音楽一家だ。

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source : 週刊文春 2022年3月3日号

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