根尾 昂(中日ドラゴンズ 内野手)「秋のキャンプからやってきたことを、よりシンプルにできるように、やれることは全部やった1か月だった」|鷲田康

野球の言葉学 第609回

鷲田 康
エンタメ スポーツ

 早熟の天才――。

 近年では高校野球で飽き足らないメディアが、中学野球で活躍する選手を「スーパー中学生」ともてはやすケースが出てきている。

 もちろん彼らに才能はある。ただ彼らのもう一つの特長は、肉体であったり運動能力であったりが、他の子供たちより、少し早く成熟していることなのだ。だからこそ中学生の世界で、ずば抜けた存在として注目を浴びることになる。

 もちろん高校生になっても、まだまだ早熟のアドバンテージはあるが、次第に周囲の成長が追いついてくる。そうしてプロの世界に飛び込んでみると、昔ほどの特別感は無くなってしまう。そこに一番、戸惑ってしまうのは、実はずっともてはやされてきた選手自身なのである。

 日本ハムの清宮幸太郎内野手(22)も、そんな“早熟の天才”の一人かもしれない。そしてもう一人、中日の根尾昂内野手(21)も「スーパー中学生」と注目を浴び、大阪桐蔭高校では投打の二刀流で甲子園大会で春夏連覇の立役者の一人となるなど、華麗な成長譜を描いてきた。ところがプロ入りすると、その成長曲線が横ばいかむしろ下降線を描き、苦戦が続いている。

3年間で出場はまだ83試合にとどまる

「とにかく打てません」

 こう語るのは地元名古屋の放送関係者だ。

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source : 週刊文春 2022年3月10日号

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