米大リーグが混乱している。年俸の最低保障額などを巡る大リーグ機構(MLB)と選手会労組の交渉が決裂。現地時間の3月1日(日本時間2日)にロブ・マンフレッド・コミッショナーは、3月31日(同4月1日)の開幕を4月7日(同8日)に延期、予定されていた最初の2カードの中止を発表した。
労使対立で開幕が延期になるのは1995年以来、27年振り。双方の主張の隔たりは大きく、さらに開幕が遅れる可能性も出てきている。
この紛争で経営側はロックアウトを実施し選手、関係者の球団施設の使用を禁止しているため、キャンプインもできていない。選手の調整にも影響を与えるのは必至だが、ロックアウトで全ての契約交渉がストップしているために、所属先も決まらず宙ぶらりん状態なのが、今季からのメジャー挑戦を決めた広島の鈴木誠也外野手(27)だ。
「日本ではキャンプが始まり、キャンプが終わり、ここまでこういう状況でずっとテレビで観ているという感じだったので、何か不思議な感じでずーっと日々を過ごしていた」
FNN系のテレビインタビューに答えた鈴木の言葉学だが、たとえこれから急転直下で労使交渉が合意に至り、所属球団が決まったとしても、シーズンに向けては難問が山積みだろう。
一番の問題は適応期間がほとんどないままに、シーズンインしなければならなくなる点である。
「打者にとってメジャー1年目のキャンプ、オープン戦はメジャーの投手の投げる球を打ち、打球の飛び方を見て、日本での打撃を修正していく期間となります。あの大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)も、1年目のキャンプでは日本時代の大きく足を上げる打撃スタイルでは全く打てなかった。そこで現在の摺り足に近いヒールアップの打ち方へとフォームを変えて適応した。もちろん大谷にも調整面でキャンプができない影響はありますが、1年目の鈴木の場合は単に調整が遅れるだけでは済まないことが一番の問題です」(スポーツ紙メジャー担当)
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source : 週刊文春 2022年3月17日号