遂にロシア軍がウクライナに侵攻しました。大勢の犠牲者が出ています。まさか21世紀の現代のヨーロッパで、第2次世界大戦以来の侵略戦争が起きるとは。
今回のプーチン大統領の戦争の論理は、以下のようなものです。
ウクライナ東部のロシア系住民が、二つの「国家」を樹立した。「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」です。この二つの「国家」とロシアは、国連憲章が認める「集団的自衛権」の行使として実質的な「安全保障条約」を結んだ。彼らが「ウクライナ軍の攻撃を受けているので助けてほしい」と言ってきたので、「平和維持部隊」としてロシア軍を送る。しかし、ウクライナ軍の攻撃を受けてはいけないので、ウクライナの「非軍事化」つまりウクライナ軍を壊滅させることにした。
二つの自称「国家」は、ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州のうち、いずれも面積にして3分の1ほどしか実効支配していません。ところが二つの「国家」は、それぞれ州全体を「国家」の領域と「憲法」で定めている。そこでロシア軍は、二つの「国家」が「憲法」で定めた国土を支配できるように支援する。
こんな理屈で戦争を始めたのです。すでにウクライナ軍とロシア軍の双方に犠牲が出ています。ウクライナ軍の兵士は「祖国を守る正義の戦い」に従事していますが、殺されたロシア軍兵士は侵略者として死んでいくのです。惨めな話です。
二つの「国家」では、2014年にロシアがクリミア半島を占領したのと相前後する形で、ロシア系武装勢力がウクライナ政府軍と渡り合い、実効支配するようになりました。実際にはロシアの後方支援もありました。
こうした形でロシア周辺の国家の中で親ロシア派勢力が独自の「国家」樹立を宣言することは、これまでに3件も起きています。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2022年3月10日号