僕が米連邦議会の現場で目撃したのは、民主主義が死にかけた光景でした。|横田増生

新・家の履歴書 第777回

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(横田増生 ジャーナリスト。1965年、福岡県生まれ。関西学院大学を卒業後、米アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号を取得。93年に帰国後、『輸送経済』の記者、編集長を務める。99年に独立。『潜入ルポ amazon帝国』で新潮ドキュメント賞受賞。近著に『「トランプ信者」潜入1年』など。)

 

 僕が生まれ育ったのは、福岡市東区の香椎公団という大きな団地です。年代的にも同世代の子供がめちゃくちゃ多くて、団地だけで野球チームが三つできるくらい。僕自身、将来の夢を聞かれれば、「プロ野球の選手」と答えるような素朴な子供で、いつも公園で野球ばかりやっていたものです。

 両親は父親がタクシー運転手、母は郵便局の売店勤務。父は小さな会社に組合を作りましてね。「組合潰し」に遭った時は、「不当解雇だ」とずいぶんと激しく会社とやりあっていたようです。

 ただ、ちょっと嫌だったのは、その組合の人たちが集まって、家で飲み会をやるんですよ。最初は「会社はけしからん」みたいな感じでも、飲んでメートルが上がると「あいつは裏切り者だ!」「ふざけんな!!」と議論が白熱してくる。何しろ狭い団地でしたから、そうなるとぜんぜん眠れない。まァ、もし僕がもっとハイエンドな家庭に生まれていたら、後にAmazonやユニクロに労働者として潜入取材してみよう、とは思わなかったかもしれませんけどね。

 横田増生さんは1965年生まれ。『潜入ルポ amazon帝国』や『ユニクロ潜入1年』などの作品で知られるジャーナリストだ。地元の公立高校を卒業後、関西学院大学へ。その後、米アイオワ大学の大学院でジャーナリズムを学んだ。

 大学時代は兵庫県西宮市にあるキャンパスのすぐ脇の学生アパートに住んでいました。早川荘という名前で、四畳半の部屋が並んでいる何の変哲もない下宿です。トイレはありましたが、風呂も台所もない部屋でしたね。

 サークルはESS(イングリッシュ・スピーキング・ソサエティ)に入ったのですが、どういうわけか僕は不思議と英語と相性が良かったんですよ。やってみると人より喋れるから、「あ、俺、今いい感じじゃん」と調子に乗っていました。

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source : 週刊文春 2022年4月14日号

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