(あおきさやか タレント。1973年、愛知県生まれ。名古屋でフリーアナウンサーとして活動後、上京し、タレントに転身。「どこ見てんのよ!」のキレ芸でブレイクする。近年は「婦人公論.jp」での連載など執筆業でも活躍。3月にエッセイ『厄介なオンナ』(大和書房)を上梓した。)

 

 私、引越しが好きなんですよ。でも2017年に初期の肺がんが見つかって手術をしたときに、ずっと賃貸の家で暮らし続けるのは不安だな、と。それで今のマンションを購入しました。占い芸人として知られるゲッターズ飯田くん曰く、家というのは前に住んでいた人の運気をもらうそうで、おじいさんが住んでいたからか、私もすごく早起きになりました(笑)。

 2000年代初頭、「どこ見てんのよ!」のギャグで一世を風靡した青木さやかさん。1973年に愛知県尾張旭市で生まれ、上京するまで生家で暮らした。

 尾張旭市は一昨年、市政50周年を迎えたんですが、両親が2階建ての建売住宅を購入したのも、市が誕生した年。ここに両親、3歳年下の弟と家族4人で暮らしていました。1階に2部屋と、台所、居間、洗面所、お風呂場があり、増築した10畳ほどの書庫もあって。2階にある2部屋のうちのひとつが私の部屋でした。

 といっても両親が共働きだったので、学校帰りは自宅から徒歩15分の母方の祖父母宅にいることが多かったです。大きな庭がある南向きの2階建てでした。各階に3部屋ずつあり、2階に上がってすぐの曾祖母の部屋で、曾祖母が牛乳パックで作ってくれたサイコロでよく遊んでいました。

 両親は共に小学校教諭で、近所からは「青木先生の家のお嬢さん」と呼ばれていたという。子どもの頃は、美人で教師としても慕われている母親が自慢だった。ところが、青木さんが高校1年生のときに両親が離婚、母親との関係が一変する。

フリーアナ時代、番組で“お笑い志望”にされたことが転機に

 母は世間体をとても気にする人でした。両親の夫婦ゲンカを外で話したらすごく怒られたし、私が何かしでかしたら「教師としての面目を失うから、ちゃんとしなさい」といつも言われていたんです。見本になるような家族でいなきゃ、と思っていたのに離婚すると聞かされ、今までのことは何だったの、と。離婚の原因は分かりませんが、子どもながらに母にあるようにも感じていました。神聖な存在だと思っていた母が、離婚によって突然“女”に見えた気がして……。多感な年頃だったこともあり、嫌悪感を抱くようになってしまったんです。

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source : 週刊文春 2022年4月21日号