週刊文春 電子版

超人のホームドラマ ヒーローも苦悩と無縁ではない

テレビ健康診断

亀和田 武
エンタメ テレビ・ラジオ 映画

 男はつらい。呑気な時代があったんだな。いまは誰もがつらいと感じている。

 スーパーヒーローも苦悩と無縁ではない。シンプルな時代を生きたスーパーマンも歳を重ねた。新聞社の同僚、ロイス・レインと結婚した彼は、いまでは高校に通う双子の父親だ。

 といって、世界平和のため、〈悪〉と闘うヒーロー・ドラマの骨格は変わらないから、超人は悩む。

食卓を囲むクラーク・ケント(写真は4/10放送より)

 双子のひとりは、内向的で精神不安定だ。通院し投薬治療を受けている。そんな息子のカウンセリングに同行する予定が、謎の怪人による原子炉破壊を喰いとめるためキャンセルに。

 父親失格とスーパーマン(クラーク・ケント)は自分を責める。世界の平和と家庭の平和の両立は不可能なのか。いい奴なんだよ。

 ケントは生後すぐ、故郷クリプトン星が破滅したため地球に送られた。中西部カンザス州の田舎町で善良な夫婦が、空から落ちてきた幼児を優しく育てた。

 一人で暮していた母の葬儀を終え、ケントは決断する。静かな故郷に引っ越して、家族と一緒にいる時間をもっと増やそう。

 故郷のスモールヴィルは静かで美しい町だ。トウモロコシ畑がつづく農場は、ブラッドベリ「万華鏡」のラストのように無垢だ。

 しかし町は石炭産業の衰退とともに荒廃した。そんな町を喰い物にする大物実業家モーガン・エッジが暗躍する。エッジは、ケントとロイスが勤める新聞社も買収する。ケントは人員整理で解雇された。ロイスはエッジ批判の記事を改ざんされ、辞表を叩きつけて新聞社を退社する。

 ほぼ同時期に公開された映画『THE BATMAN─ザ・バットマン─』では、若き日のバットマン(ブルース・ウェイン)の苦悩が描かれた。〈悪〉の巣窟ゴッサム・シティを牛耳る悪人の正体を暴き、自分のルーツまで辿る。ウェインの心象風景は昏い。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

すべての記事が読み放題
月額プランは初月100円

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 音声・動画番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 週刊文春 2022年4月28日号

文春リークス
閉じる