この男には華がある――。当代随一の色男の素顔、歌舞伎界最高峰の大名跡・市川團十郎襲名の未来。歌舞伎を見て30年の林真理子さんが語る。

 あのやんちゃ坊主だった市川海老蔵さんが、ついに襲名して「十三代目市川團十郎白猿(はくえん)」になる――。2020年5月から始まる予定だった襲名披露公演は残念ながらコロナ禍で延期されたままですが、とても感慨深いものがあります。

 

 実は私、まだ高校生で新之助と名乗っていた海老蔵さんと同じところで、日本舞踊の稽古をしていました。藤間藤太郎(ふじまとうたろう)先生のところに、私は30代後半の6年間習っていましたが、そこに海老蔵さんは女形の踊りの稽古のために通っていたんです。

 最初の発表会、私は国立劇場で『藤娘(ふじむすめ)』を披露しました。私が「どっこいしょ」って感じで立ち上がったら、爆笑が起きた。それを見に来ていた海老蔵さんは鮮明に覚えていたそうで、20年以上経ってから、最近こう言われました。

「あれは、どういう神経でやったの?」

 別に人様からお金をとっているわけじゃないからいいじゃないですかって言い返しましたけど、失礼しちゃいますよね(笑)。

 初めて会った頃の海老蔵さんは、まだ遊びたい盛りで、かわいらしいやんちゃ坊主という感じでした。

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source : 週刊文春 2022年5月5日・12日号