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創業25周年のレセプションで|三木谷浩史

三木谷浩史「未来」 第44回

三木谷 浩史
ビジネス 企業

 楽天グループは今年、創業から25周年を迎えた。ずいぶん長い時間のように聞こえるけれど、自分の目指す世界がまだまだ先にあるからだろう、「あっという間の25年間だった」というのが正直な気持ちだ。

 4月14日、The Okura Tokyo プレステージタワーで、25周年の記念レセプションを開催した。会場に集まって下さったのは、楽天市場の店舗さんをはじめ、金融事業やモバイル事業などにおける取引先やパートナーの方々など約1500人。これだけ大勢の方々が一堂に集まった光景は、欧米各国ではスタンダードとなった「アフター・コロナ」の実践の一つだったと思っている。

約1500人の関係者が会場に集まった

 この日のパーティには政財界の知人や友人も数多く出席してくれた。

 その一人が、林芳正外務大臣。僕が日本興業銀行に勤めていた頃からの友人だ。彼は三井物産出身で、ハーバード大にも留学経験がある。「三木ちゃんがネットでモールを立ち上げると話した時は、『やめときなよ』と言った」と挨拶してくれた。彼のアドバイスを聞いて、やめなくてよかった(笑)。

 岸田文雄首相や後藤茂之厚生労働大臣なども会場に姿を見せてくれた。岸田さんのスピーチは、10分以上にわたってベンチャー企業への支援の重要性を語っていたのが、強く印象に残っている。

 僕は岸田さんが掲げる「新しい資本主義」に対しては、成長あっての分配との姿勢を向けてきた。けれど、レセプションに集まった大勢のベンチャー企業の関係者の前で、首相自ら明確にスタートアップへの支援に言及したことは大きい。もちろん、リップサービスの面もあったかもしれないが、ある種の決意表明のように受け止めている。日本も少しずつ変わる――そんな期待を抱かせるスピーチだった。

6人の仲間との思い出

 レセプションには、25年前に楽天を一緒に創業した6人の仲間も駆け付けてくれた。例えば、現・軽井沢風越学園理事長の本城慎之介。起業したばかりの90年代後半、楽天市場のプラットフォーム構築などで大活躍してくれた仲間だ。副社長を最後に2002年に退社後、彼が力を注いだのが、教育関係の事業。私財を投じて、理想の学校を実現するために風越学園を設立した。今では、緑溢れる環境で多くの子どもたちが生き生きと学んでいると聞く。

 そんな彼らと会って久しぶりに当時の話に花を咲かせていると、何だかんだで「あの頃」の思い出や気持ちが、懐かしく蘇ってくる。

 楽天を創業した頃、僕らは100以上のアイデアの中から、インターネットショッピングモールというビジネスを選んだ。当時は「インターネットでモノを買う人はいない」と言われていた時代で、先行していた多くのECサイトも全く商売が成り立っていなかった。

 それでも、僕や本城には確信があった。インターネットは間違いなくこれからの僕らの生きる「未来」に、革命的な変化をもたらしていく。だからこそ、パソコン操作さえできれば、誰でも簡単にネット上にお店を開けるシステムを開発し、利用料を低額にしてこの世界に参入した。

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source : 週刊文春 2022年6月2日号

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