まったくどういう番組か知らずに見始めた『ハナコ書店』、書籍紹介バラエティで、紹介されるのはマンガだけ。お笑いトリオ・ハナコが司会でマンガ家やマンガ好きタレントをゲストに迎えてマンガ話に花が咲く。マンガなら『鬼滅の刃』と『ゴールデンカムイ』と『進撃の巨人』押さえときゃいいんじゃねえの……なんていってはいけない。世の中には「あなたの知らない面白いマンガ」が星の数ほどあるのだから。

 で、私がはじめて見た時のゲストが曽山一寿先生。『コロコロコミック』の看板マンガ家の先生である!……が、まったく守備範囲外の世界で、お名前も存じ上げず、『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』というマンガのタイトルも聞いたことがない……小学館漫画賞児童向け部門受賞作品なのに。このようにマンガの海は果てがない。

©iStock.com

 で、ニコニコとしゃべる曽山先生を、「こういうマンガ読まねえしなあ」と上の空で見てたんですが……曽山先生のトークが面白いんですよ! ギャグマンガの才能あるならそりゃ話も面白いわなあ。『コロコロコミック』の編集さんに最初のうちはつれなくされてた話とか、ヒキをつくって盛り上げて落とす! ヘタすると陰惨な話になりそうなのにみんな楽しく大笑い、という話術。ルックスもマンガっぽくてテレビ向き。

 そして曽山先生オススメのマンガで相原コージ先生の『真・異種格闘大戦』てのが出てきてこの面白さの説明もまた「ただちに読みたい」ぐらいの話術。じっさいその場で電書で入手しましたよ。キンドルアンリミテッドで全10巻タダ!

 聞き手のハナコの3人がまた、マンガオタクっぽさはまるでなく、学校さぼって寝転がってマンガ積み上げて読んでる、って感じの人たちで、『BSマンガ夜話』的なスノッブさ一切なし! そこがこの番組の良さとみた。マンガを語る人、めんどくさい人ばっかな印象があったもんで。

 で、次の週のゲストはマンガ家で芸人の田中光先生。『サラリーマン山崎シゲル』で大人気……だそうだが、やはり存じ上げませんでした(最初、爆笑問題かと思ってしまった……)。曽山先生よりはサブカル寄りの芸風作風のようで、ちょいとアーティスティックなナンセンスマンガ。それでまた、芸人でもあるからしゃべるのうまいしなあ。

田中光先生(左)とハナコの3人(写真は5/14放送より)

 しかし、ほんとに、この番組見てると、まるで知らないマンガばかりが出てくるので驚いてしまう。最近はあまりマンガ読んでなかったとはいえ、こうも面白そうなのがいっぱいあるとすると「さらに広くマンガの海に漕ぎ出そう」などと思いつつ、大量の宿題出されてちょびっと気が重いような気にもなるという、こういうのが実は「教養番組」なのではなかろうか。

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source : 週刊文春 2022年6月2日号