「前作から36年が経っていますが、オールドパイロットが人生最後のミッションをどう乗り越えていくのか、自分のパイロット人生と重ねあわせて感じ入ってしまいました」
トム・クルーズ(59)主演で現在公開中の「トップガン マーヴェリック」についてこう語るのは、元航空自衛隊第306飛行隊長の戸田眞一郎氏(71)である。元空自パイロットが語る“萌え”ポイントとは――。
同作は映画「トップガン」(1986年)の続編。現在、映画ランキングで首位を快走。国内興行収入も既に約30億円に達している。
“マーヴェリック”とは一匹狼を意味するトムのニックネームだが、同様に日本の空自パイロットも皆、TACネーム(愛称)を持つ。「Hachi」こと元空自F-15アグレッサーパイロットの前川宗氏(41)が語る。
「私は8人兄弟だったので。漢字にすれば末広がりになりますし、数字を横にすれば無限大にもなるので愛着があります。本作の若きパイロットたちにもハングマン(絞首刑執行人)やルースター(成長した雄鶏)など意味深な名前がついていますから、由来に思いを馳せるのも一興です」
映画の魅力を支えるのは細部に至る圧倒的なリアリティだ。出演者らは全員、何カ月も前からGに耐える訓練を受け、実際に飛行する戦闘機のコックピットで演技した。戦闘機一機を一回飛ばすのに数百万円はかかる。
「米海軍の全面協力がなければありえません」(同前)
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source : 週刊文春 2022年6月16日号