母の命日だったので、姪と一緒に山梨へお墓まいり。
久しぶりに乗った中央線は、これほど美しい車窓が拡がるのかと驚くばかり。ずーっと深い緑が続く。
駅には従姉たちが迎えに来てくれていて、車でお寺に向かう。
お墓の前で手を合わせた。今からちょうど半世紀前、母が無理をして東京の大学に行かせてくれた。それが今度のことに繋っているのだ。
当時大学進学率は、短大も含めて3割ぐらい。私は別に勉強が好き、というわけでもなく、やりたいこともなかった。本当ならば高校を出て働いてもよかったのであるが、単に、
「東京で楽しいキャンパスライフをおくりたい」
という理由で進学を決めたのである。今思うとかなり親に無理をさせた。本当に申しわけない。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2022年6月30日号