本誌連載「0から学ぶ『日本史』講義」でおなじみの出口治明APU学長が倒れたのは2021年1月。後遺症は半身麻痺と言語障害。その失意の底から、職場復帰を目指し復活を遂げるまでの闘病の日々を出口氏が語った。
《9日午前に急遽入院・療養が必要となりました。予定していた取材はキャンセルさせて頂きたく、お願い致します》
2021年1月、立命館アジア太平洋大学(APU)学長室から送られたメールは、「0(ゼロ)から学ぶ『日本史』講義」の取材を数日後に控えた出口治明氏(74)の、突然の不調を伝えていた。
それから1年半。昨年4月から休載していた本連載は、再開に向けて動き始めている。その日を前に、出口氏が「闘病とリハビリの500日」を本誌に語った。
昨年1月9日――その日は母の四十九日法要の日でした。
僕は前日8日にAPUキャンパスがある大分県の別府から福岡市内のホテルに移動して、翌朝、新幹線で故郷の三重に向かうつもりでした。
ところが朝6時ごろ、急に気分が悪くなりました。これまで経験したことのない不調――そう感じてすぐに救急車を呼びました。
救急隊員に運び出されると、僕は車内のストレッチャーの上で横になりながら、受け入れ先を問い合わせる隊員の声を聞いていました。搬送が決まったのは2軒目。僕はそこで意識を失いました。
記憶が戻ったのはそれから数時間後です。病室のベッドにいました。
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source : 週刊文春 2022年7月7日号