たまには近場で起きたドメスティックな話題を。
最寄り駅のすぐ近くにある和菓子屋が店じまいをした。廃業とあったから、この一店舗だけでなく、多摩地区を中心に展開する紀の国屋の全二三店舗が閉店に追い込まれたのか。
そう、東京二三区の西側に広がる多摩地域の話だ。あんこの味が、品良く、庶民的。相国(しょうこく)最中は、あんこと求肥(ぎゅうひ)もちの相性が良く、一日に二万個も売れた。
私のベストはおこじゅである。どら焼きと一緒くたにする人もいるが、皮のソフトな触感と黒糖の風味が舌と喉で蕩けていくときの快感といったら。これはやはり別物だ。一個が一四〇円の快楽の小宇宙だ。
紀の国屋の廃業はネットで瞬時に広まった。悲報の見出しが躍り、閉店を嘆く声が数多く寄せられた。
三浦祐太朗のツイートもあった。いつも通った南武線谷保駅前の店を見に行った、と。祐太朗君はおこじゅが大好物。私と同じだ。「本当に残念ですが、今まで変わらぬ味をありがとうございました。また、どうか、いつか」。家族みんなが好きで「三浦家のソウルフードでした」とも。
多摩に住んで四〇年。私の舌に一番馴染んだのが、おこじゅだ。俺の三多摩は新選組と玉川上水、御岳渓谷、おこじゅで足りる。吉祥寺も昭和記念公園も無くたって生きていけるさ。
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source : 週刊文春 2022年7月7日号