週刊文春 電子版

棋士への門|杉本昌隆

師匠はつらいよ 第62回

杉本 昌隆

連載

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 棋士は考えるのが仕事である。そういえば先月の私、公式戦で一手に約1時間半の大長考をした。日々、現役の棋士寿命は減っていくが、考えたい時間は逆に増える。因果なものである。

 考えると言えば、オーギュスト・ロダンの彫刻の「考える人」。小学校の図工(美術)の時間に、あのポーズで同級生達のデッサンのモデルになったことがある。たしか担任の女性教師にこう言われたのだ。

「考える人の役は……そう杉本君がいいわね。あなたはいつも考え込んでいるから」

 別に揶揄されたわけでもなく、不快感もなかった。たしかに私はそんな少年だった。先生の言葉通り、大人になって思いきり考え込む職業に就きましたよ……。

 ちなみに「考える人」は本来「地獄の門」という別の作品の一部で、地獄の門から人々を見下ろす裁判官が考える人なのだとか。知ってビックリであった。

 さて、将棋界において棋士への門、そして扉は残酷なほど固くて重い。全ての人に開かれているが、今までそこに届く女性は現れなかった。

 しかし、ついにその扉がこじ開けられるかもしれない。そう、里見香奈女流四冠のことである。

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source : 週刊文春 2022年7月21日号

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