覚せい剤取締法違反で逮捕された後の清原和博(54)の4年間を追ったノンフィクション『虚空の人 清原和博を巡る旅』(小社刊)。前作『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(小社刊)で大宅賞を受賞した鈴木忠平氏は、なぜ清原に引き寄せられたのか。
昨夏のことだった。地下鉄の通路を歩いていると携帯電話が鳴った。清原和博さんからだった。付き合いがあるわけではない。継続して連絡を取っているわけでもない。それでも、毎年夏になると、清原さんから唐突に音信があった。
「あの、桑田のグラブ……まだ手元にありますか?」
清原さんはいつものように前置きなく、そう言った。
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source : 週刊文春 2022年8月18日・25日号