働きながらの遠距離介護。父は「絶対に辞めるな」と言ってくれていました。|橋本真由美

新・家の履歴書 第796回

平田 裕介
ライフ ライフスタイル

(はしもとまゆみ 元ブックオフ社長。1949年、福井県生まれ。元ブックオフコーポレーション代表取締役社長。69年、一宮女子短期大学家政科卒業。90年、ブックオフ直営1号店にパート入社。2006年、代表取締役社長兼COOに就任。その後、取締役会長などを経て18年に退社。)

 

 夫から「出張3日間だからYシャツ3枚」と言われた時、アイロンがかかっていなかったんです。色々と積み重なっていたこともあって「俺とブックオフ、どっちが大事なんだ」と詰め寄られました。

 でも、仕事は絶対に辞めたくなかった。41歳まで「誰々のお母さん」「奥さん」と呼ばれていたのが、私の名前で仕事をして、自分という存在や働きが認められたことがすっごく嬉しかったんです。だから「ブックオフです」って、はっきり言いました。

「本を売るならブックオフ」のキャッチコピーで知られる古本販売チェーンのブックオフ。その第一号店にパートで入り、のちに代表取締役社長になった橋本真由美さん。1949年3月21日、福井県大野郡和泉村(現・大野市)に生まれた。

 険しく切り立った山々に囲まれた、稲田が連なっている村でね。産婦人科なんてないですから、母方の祖母の姉が家に来て取り上げてくれたそうです。私の母は7歳の時に親戚だった祖母と祖父の養女になったんですね。父は婿養子で、清水家から山を継いで林業と農業を営んでいました。私が3姉弟の一番上で、1歳下の二番目がタレントの清水国明(本名・國明)、三番目の英二は國明の事務所の社長を務めていました。

 和泉村の家は、庭に池もあって広かったです。8畳や10畳の部屋が6つ、2階は戦前にやっていた養蚕用の部屋で、そこは物置に。父は小学校の代用教員もしていて、余った部屋に同僚の先生を下宿させていました。強烈に覚えているのが、板の間のツキノワグマ。父が猟銃で仕留めては夜中に置いておくんですけど、トイレに行くとビヤーンと伸びているから驚いてね。夜が明けたら、そこでバラし、皮を剥ぎ、内臓を取り、肉を削いで。熊は収入源だし栄養源でもあったんですよね。

栄養士を志すように。短大に進学して勉強に打ち込んだ

 55年、和泉村朝日小学校後野分校に入学。当時はおとなしい少女だったという。61年、和泉村朝日中学校に進学する。

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source : 週刊文春 2022年9月8日号

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