若い人が成功を勝ち取る姿は美しい。それが身近な人なら自分まで幸せになる。今の私がそうで、しかも今回は2倍である。

 9月6日、お〜いお茶杯第六十三期王位戦七番勝負第五局で藤井聡太竜王は豊島将之九段に勝利。4勝1敗で防衛に成功するとともに、タイトル獲得数を通算十期の大台に乗せた。

 タイトル初挑戦が2020年の6月。あの日から圧倒的な強さでタイトルを増やし続けているのだ。

 タイトル通算では、九十九期の羽生善治九段の大記録がそびえ立つ。見方によってはやっと10分の1だが、藤井竜王がそこに迫る過程を楽しみたいものだ。

 さて、奨励会の弟子と師匠の関係は儚い。弟子が棋士にならない限り、いつか必ず別れが来るからだ。

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source : 週刊文春 2022年9月29日号