特定成分が濃縮された錠剤やカプセルなどの健康食品・サプリメント(以下サプリ)。その市場規模はコロナ禍を背景として2021年に初めて1兆円を超え、今年もさらに拡大する見通しだ(富士経済調べ)。中でも中高年女性の需要は高く、19年の厚生労働省「国民生活基礎調査」によれば、最も多い層が50〜59歳の女性で、入院者を除いても37.6%が摂取しているという。一方で先日も「コロナの感染予防に効果あり」と謳ったサプリが景品表示法違反で消費者庁から措置命令を下された。賢い飲み方を専門家に聞いた。
薬剤師カフェvitaの平井陽子・代表薬剤師が解説する。
「中高年女性がサプリを摂りたがるのは、閉経する40〜50代の更年期以降、さまざまな体調の変化が起きるからでしょう。これは卵巣機能が低下し、女性ホルモン『エストロゲン』の分泌が減少していくからです。更年期初期はほてり、発汗などのホットフラッシュ、その後は高血圧、動脈硬化、脳卒中など重大な病気になる可能性が出てきます」
では、具体的にはどんなサプリが良いのだろうか。平井氏がまず挙げるのが、大豆イソフラボンだ。
「エストロゲンと分子構造が似ている事から『植物性エストロゲン』と呼ばれ、エストロゲン欠乏による弊害を緩和できると考えられます」(同前)
だが過剰に摂取する事は禁物だ。厚労省は、大豆イソフラボンの1日あたりの摂取量の上限を70〜75mgと設定している。
「75mgを超えるとただちに健康被害があるわけではないが、例えば豆腐は100gあたり40mgの大豆イソフラボンが含まれており、食事で多く摂取する人はサプリで摂る量に注意が必要です」(同前)
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source : 週刊文春 2022年11月3日号