先日電車に乗っていたら、アフリカ系であろう女性陣がどやどやと乗ってきました。携帯に目を落としていた私の視界にもバッチリ入るくらい、ハッと目を奪われるカラフルなコートばかり。きっと旅行で日本に来ていて、急に寒くなったので、当座しのぎのアウターを買ったのでしょう。それぞれにその人らしい色を着ていて、ダークトーンの服だらけの車内で、それはそれは華やかでした。

 他のアイテム同様に、自分らしさを出して楽しみたいアウターですが、皆さんのセレクトを鈍らせる理由がいくつかあり、私達パーソナルスタイリストにとっても、提案が難儀なものの一つです。高い買い物で、1着で全てをまかないたい思いが強いので「もっとこうならいいのに」の蓄積が多く、妥協したくない。あるいは、他のアイテムより長く着る想定なので、自分の好みを抑えた無難なものを選んでしまったり、社会人として相応しいものを買わなくてはと思ってしまったりする。総じて買い物としての満足度が下がる傾向にあります。

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source : 週刊文春 2022年11月17日号