隅田川の近くを選んだのは、父あきおや伯父のてつやが住んだ地への憧れからです。|千葉一郎

新・家の履歴書 第808回

児玉 也一
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(ちばいちろう ちばあきおプロダクション代表。1975(昭和50)年、東京生まれ。ちばあきおの長男。2016年に「ちばあきおプロダクション」代表就任。コージィ城倉による『プレイボール2』、『キャプテン2』の企画を立案する。著書に『ちばあきおを憶えていますか 昭和と漫画と千葉家の物語』(集英社)がある。)

 

 今年は漫画『キャプテン』が生まれて50年。そして父、ちばあきおが亡くなって38年です。この間、作品は読み続けられてきましたが若い人には馴染みが薄くなり、父を知る編集の方も定年を迎えるようになってきました。

 ちばあきおをもう一度知ってもらうために何かできないか。父の友人だった本宮ひろ志先生に相談して集英社の編集の方をご紹介いただいたのが2016年です。

 私がスピンオフの企画を提案すると関心を寄せてくださり、漫画家のコージィ城倉先生に描いていただくことも決まった。ところが城倉先生は、父が描いた最終回から物語を始めたいという凄いアイディアを出してきました。

 17年に『プレイボール2』、19年には『キャプテン2』が、「ちばあきおイズム」を受け継いだ作品として見事に甦りました。

 伝説の野球漫画を復活させた、ちばあきおプロダクション代表の千葉一郎さん。
『キャプテン』は東京下町の中学校野球部の少年たちが、魔球もヒーローも存在しないグラウンドでひたむきに野球へ打ち込む物語だ。そして高校に進学した主人公が甲子園を目指すのが『プレイボール』。
 その作者であり、一郎さんの父親でもあるちばあきおさんは1943年1月、満州に生まれた。
 長兄は『あしたのジョー』を描いたちばてつやさん。次兄はちばてつやプロダクションの元マネージャー、研作さん。漫画原作者の七三太朗(なみたろう)(本名・樹之)さんは弟。漫画と生きた兄弟だった。

 私の祖父母、父の両親が満州に渡ったのは、父が生まれる前の41年。住まいは奉天(現・瀋陽)の凸版印刷系列の「新大陸印刷」の社宅だったようです。45年8月、ソ連の対日参戦、さらには日本の敗戦でそれまでの生活から一変しました。ソ連軍、そして日本人に不満をもつ中国人による略奪や暴行が始まり、会社で親しかった中国人宅の屋根裏に家族で身を潜めては危機から逃れたそうです。

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source : 週刊文春 2022年12月1日号

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