(ごだいなつこ/1961(昭和36)年、東京都生まれ。87年、「戻り川」でデビュー。翌年、同曲で第21回日本有線大賞、第21回全日本有線放送大賞の両賞で最優秀新人賞を受賞。今年、芸能活動40周年を迎えた。10月から「らじるラボ」(NHKラジオ第1)水曜パーソナリティー。)

 

 実は私、伍代夏子としてデビューする前に、3回も別の名前でデビューしているんですよ。でも、どれも鳴かず飛ばずで。それでも歌手を諦めなかったのは「両親に素敵な家を建ててあげたい」という目標があったから。「そのためには絶対に売れるしかない」という強い思いが私を導いてくれたように思います。

 演歌歌手の伍代夏子さんは、1961年、東京・渋谷区の代々木八幡に生まれた。家の近所で魚屋を営む両親、4つ上の姉の4人暮らし。両親は商売に忙しく、休みは日曜日だけだった。

 生家は、30坪ほどの土地に建つ木造2階建てで、1階には和室が2つと台所。もとはお風呂がなかったんですが、私が生まれる前に父が浴室や納戸を建て増ししたそうです。増築部分はトタン屋根で、脱衣所がすごく寒かったですね。

 私が小さい頃は2階を親戚に間貸ししていて、私たち家族は1階だけで生活していました。六畳間が居間で、二段ベッドを置き、姉と私の寝室も兼ねていたんです。2階の六畳間が姉、四畳半が私の部屋になったのは、大きくなってからでしたね。

 家の敷地は、通りから奥に入ったところにある旗竿地だったので、日当たりが悪くて。母は、洗濯物が乾かないとよく嘆いていました。その母の手は、水仕事であかぎれだらけ。冬の寒い日でもゴム長靴に前掛けをしてお店に立ち続ける働き者の両親を見ていたから、「大人になったら、日当たりが良い家をプレゼントしてあげたい」と自然と思うようになったんです。

イラストレーション 市川興一/いしいつとむ

 歌は物心ついた頃から大好きで、小学生時代には、譜面と歌詞が載った「歌本」を見ながら押入れの中で歌っていたんですよ。特に演歌が好きで、憧れの八代亜紀さんがテレビに出ると、画面に釘付けでした。将来の夢は演歌歌手一択。それ以外の職業は考えられなかったし、「家を建てるには歌手になるしかない」って思いこんでいましたから。

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source : 週刊文春 2022年12月22日号