(はやしこうじ 脚本家。1965(昭和40)年、京都府京都市生まれ。脚本家。『離婚弁護士』『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』(フジテレビ)、『ハゲタカ』(NHK)、『ドロ刑 警視庁捜査三課』『トップナイフ 天才脳外科医の条件』(日本テレビ)など、数多くのヒット作を手がける。)

 

 京都の伏見稲荷大社のそばで生まれました。正月になると参拝客の歩く音が家にいても聞こえてきた。山が近くて自然も豊か。だけど古い長屋も多い雑多な町です。

 亡くなった祖父が一代で材木問屋を始め、父親がその二代目。大きな材木工場があって、昔は家の敷地をトロッコが走ってた。「京都の林木材」といえば有名だったそうです。でも祖父は仕事もできるが遊びも派手。東山にあるうちの墓は、祖父が祇園のお茶屋の芸妓に入れあげ、自分が死んでも墓参りに来やすいようにと祇園を見下ろす場所に建てたらしい。

 その芸妓さんが墓参りにきたかどうかは定かじゃないけど、バチあたりなのは確か。案の定、父の代で材木工場は潰れました(笑)。

 テレビドラマの脚本家として、『離婚弁護士』『医龍』『ハゲタカ』『BOSS』『コード・ブルー』『アイムホーム』『トップナイフ』など、数々のヒット作を世に放ってきた林宏司さん。1965年、京都市伏見区に3きょうだいの末っ子として生を受ける。

 父も6人兄弟の末っ子。兄たちが相次いで亡くなり、急に家業を継ぐことになったのですが、末っ子らしくお調子もので気がいい。商売には向いてなかったんでしょう。剛腕の先代のあとで苦労もしたようです。私が3歳のときあっけなく廃業、工場の一部を賃貸マンションにしました。

 材木商らしく家は銘木をふんだんに使った造り。でも子供心には、ただ古くて暗いだけ。長い廊下の端にトイレがあって、夜行く時は怖くて往復走ってました。おまけに木のぬくもりは全然ない、冷え切った家庭でした(笑)。

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source : 週刊文春 2022年12月29日号