(はやみしょう 声優。1958(昭和33)年、兵庫県生まれ。劇団青年座研究所、劇団四季を経て、80年にニッポン放送主催の声優コンテストでグランプリ受賞。劇場版『1000年女王』で声優デビュー。CM、企業ナレーションや朗読ライブ、ディナーショーなど、幅広い表現で活動している。)

 

 沖縄生まれの父は少年飛行兵に志願し、東京の八王子で終戦を迎えました。戦火が続く故郷には帰らず、当時は関西に沖縄出身者が多く集まっていたことから、知り合いもおらず土地勘もない兵庫へやって来た。米屋に住み込みで働きながら旧制中学を卒業し、たまたま縁があった母と結婚した後、父は公務員になりました。県庁の納税係です。

 声優界きっての低音ボイスで知られる速水奨さんは、『超時空世紀オーガス』や『勇者エクスカイザー』など1980年代以降のロボットアニメの主役で頭角を現し、近年は『ヒプノシスマイク』でラップに挑戦するなど幅広く活動してきた。複数の養成所で講師の任に就き、神田沙也加をはじめ、若き声優の卵たちの才能を目覚めさせてきた経歴の持ち主でもある。

 1958年(昭和33年)8月2日生まれ、兵庫県高砂市出身。2歳差の男ばかりの三兄弟の末っ子だ。

 高砂市の生家があった地域は、最寄りのJR山陽本線の駅から歩いて20分ぐらいのところにある、いい言い方をすればベッドタウンです。家は、元は県営住宅でした。50坪の土地に4軒の平家が井戸を囲む形で並ぶ、そのうちの1軒に住み、僕が生まれる前に買い取って持ち家にしたそうです。

声が出ない状態が1週間続いたあとで出た声は、1オクターブ低くなっていた

 最初の間取りは六畳と四畳半の和室、トイレに台所。持ち家となったところで工事をして、簡易的な風呂小屋をくっ付けました。その後も、まずは四畳半の隣りに八畳の子供部屋をもう一つ作り、さらに四畳半の勉強部屋、母親が家事をする六畳ほどのユーティリティルームなど、増改築を繰り返しています。最終形態は、当初の倍以上の広さになったんじゃないかな。そのぶん庭は狭くなりましたが、歩いて5分のところに山もあり自然は豊か。同世代の子供たちが多く、一番上の兄がまとめ役となってみんなで野山を駆け回って遊んでいました。

イラストレーション 市川興一/いしいつとむ

 幼少期の家の風景を思い返すと、父のとある姿がついて回る。

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source : 週刊文春 2023年1月19日号