(しんさんなめこ 漫画家・コラムニスト。1974年、東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部卒業。在学中からイラストレーター、ライターとしての活動を始める。執筆活動を中心にWeb連載やテレビ出演なども。『女子校育ち』『辛酸なめ子、スピ旅に出る』など著書多数。)
これまで暮らした家の中で一番印象に残っているのは、独立するまでのほとんどの時間を過ごした浦和(現・さいたま市浦和区)の実家。あの家は、なんて言うか家が生きている気がしていたんです。引っ越してからも夢に出てくるので、時々グーグルマップのストリートビューで見たりしていました。その夢の中では祖父母や母もまだ生きていて、部屋で一緒に何かを食べているんです。団欒するような家族ではなかったはずなのに(笑)。7、8年前、祖母が亡くなった後は人手に渡ったらしいと聞いていたその家を最近見に行ったら、築50年以上は経っているのに、そのまんまの姿で建っていてうれしかったですね。あの家で家族と過ごしたどんな時間も、今となってはただ懐かしいです。
独特の視点で世の中の事象を切り取る文章と、味のあるイラストが人気の辛酸なめ子さん。本名は池松江美。1974年8月、東京・千代田区の病院で2人姉妹の長女として生まれた。
両親は特許庁で働く国家公務員でした。博多出身の父は九州大学を出たあと筑波大学を、母はお茶の水女子大学を卒業しており、父が30歳、母が24歳の時に結婚したそうです。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2023年2月2日号