先日、子供を中国のインターナショナルスクールに通わせている知人から、こんな話を聞いた。

 何でもその子は学校での課題の提出にあたり、インターネット上で見つけた英語の論文のコピー率をどうやって下げることができるかを考え抜き、色々と工夫していたそうだ。まず英語の論文を翻訳サイトで日本語に変換し、それをさらに中国語に訳したり、2022年11月にオープンAI社が公開したチャットボット「ChatGPT」を使ったりして、コピー率が0パーセントの「オリジナルな文章」を作り上げてしまったという。つまり、学校側は生徒が論文を「コピペ」して書いたかどうか、専用のソフトでも全く判別できなくなってしまったというわけだ。

 知人は「全く困ったものだ」という表情を浮かべていたけれど、子供たちがChatGPTを自分で工夫して上手く活用していること自体には、その是非はともかくとして興味を惹かれるものがあった。新しいテクノロジーに敏感に反応し続け、自らの生活にいち早く取り入れていく。その好奇心や適応性は大人である僕らも見習うべきところがあるだろう。

「言語予測」に基づいて文章を生成するChatGPTのアルゴリズムは、これまでのインターネットで前提であった「検索」という概念にブレイクスルーを起こすものだ。

 従来のインターネット検索では、ユーザーが検索するワードを入力すると、インデックスによって結果が表示される仕組みになっている。つまり、検索はChatGPTのように検索された文章の内容自体を解釈することはない。よって、検索を行うためには、「自分が何を検索したいか」をユーザー自身が予め考え、それを用意する必要がある。

AIが裁判官や弁護士に

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source : 週刊文春 2023年3月16日号