新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るうようになってから、3年あまり。日本でもその感染症法上の分類が「2類」から「5類」に引き下げられる。ただ、こうしたタイミングだからこそ、考えるべき問題がある。コロナ対策による経済への副作用、いわゆる「モラルハザード」が生じてしまっていることだ。
振り返れば、コロナが流行した当初、日本では持続化給付金など様々な補助金による支援策が打ち出されていた。僕にとって意外だったのは、アメリカでも、実はかなり大規模な現金給付が行われたことだ。
コロナで逼迫した企業や個人を政府が緊急的に支え、生活が成り立つよう支援することは必要な面もあっただろう。しかし、給付金を大盤振る舞いしたことで、アメリカのその後の経済にどのような事態が生じたのかはよく考えてみる必要がある。
例えば、アメリカでは当時、給付金を受けた学校の先生たちの中にも職を離れてしまう人がいたという話を聞いた。働かなくても政府がお金をくれるため、労働へのインセンティブがなくなってしまったからだ。職業や働き方によっては、給料を上回るような補助金をもらえた例もあったという。まさに「モラルハザード」に繋がる状況だ。
教育の現場ですらそのようなことが起こるのは、ある意味では自由な「アメリカらしさ」とも言えるかもしれない。しかし、「国がお金をくれるなら、バカバカしくて働かない方がいい」という考えを呼び起こしてしまうような政策は、資本主義社会にとって極めて危険な劇薬だ。
本当に地方を救えるのか
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます
キャンペーン終了まで
-
月額プラン
1カ月更新
2,200円/月
初回登録は初月300円
-
年額プラン
22,000円一括払い・1年更新
1,833円/月
-
3年プラン
59,400円一括払い、3年更新
1,650円/月
オススメ!期間限定
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
有料会員になると…
世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!
- スクープ記事をいち早く読める
- 電子版オリジナル記事が読める
- 解説番組が視聴できる
- 会員限定ニュースレターが読める
source : 週刊文春 2023年3月9日号