2月中旬、日本のデジタル化の「未来」について、少し考えさせられる出来事があった。

 アメリカのCBP(税関・国境警備局)が開発した入国審査のシステムに「グローバル・エントリー・プログラム」というものがある。アメリカの国民や永住権を持つ人だけではなく、ドイツやシンガポール、メキシコ、インド、さらには韓国や台湾などの国籍を持つ米国渡航者を対象に、事前に入国審査を簡素化して行えるようにしているシステムだ。

 このシステムは非常に合理的なもので、あらかじめ承認を受けていれば、米国において入国審査の長い列に並ばなくても済む。また、端末にパスポートを読み込ませ、指紋認証を行えば、自動的に税関の申告を行うこともできる。

 アメリカへ渡航することの多い僕は以前からこのプログラムに登録しているが、実は、昨年からこの対象から日本国籍の渡航者が外されてしまっているというのだ。すでに登録している人は引き続き利用できるものの、新規では日本人に承認が与えられなくなっている。

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source : 週刊文春 2023年4月13日号