長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督曰く「プロ野球選手の30代前半はカルビです」。
その心は――。
「脂が乗り切る時期ですから。20代前半で身体を鍛え、後半で技術を磨く。30代前半は精神的にも充実して選手として完成する。その充実期をどこまで持続できるかは、20代にどれだけ鍛えたかでしょう」
巨人・坂本勇人内野手(34)の今シーズンを観ていて、そんな長嶋さんの言葉を思い出している。
開幕から22打席連続無安打の絶不調が続き、ようやく初安打が出たのが4月8日の広島戦。左腕・床田寛樹投手(28)の低めのストレートをバックスクリーンに運ぶ本塁打を放つと、次の打席でも左前安打でマルチ安打も記録した。
坂本と言えば思い出すのが、プロ入り1年目に放った初安打である。2007年9月6日。ナゴヤドーム(現バンテリンドーム)での中日戦。延長12回二死満塁で代打に起用され、中前に決勝タイムリーを放った。当時はまだ18歳。しかし直後に原辰徳監督が「ひょっとしたらジャイアンツの将来を担う選手になるかもしれない」と語っていたのも鮮明に覚えている。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2023年4月20日号