昨年末、惜しまれつつ37年の歴史に幕を閉じたフランス料理の名店「オテル・ドゥ・ミクニ」。それは巨匠の70歳から歩む新たな夢への始まりで――。長年親交のあるアガワが、“世界のミクニ”の来し方行く末に迫ります。

 

(みくにきよみ フレンチシェフ。1954年生まれ。北海道出身。中学を卒業後、札幌グランドホテル、帝国ホテルで修業を積み、74年に駐スイス日本大使館の料理長に就任。幾つかの三ツ星レストランで働いた後、85年オテル・ドゥ・ミクニを開店。近刊の自伝『三流シェフ』(幻冬舎)がベストセラーに。)

 

阿川 昨年末に四谷の「オテル・ドゥ・ミクニ」を閉めちゃったんですね。37年間、本当にお疲れさまでございました。

三國 こちらこそ、長年お世話になりました。

阿川 先日出された自伝(『三流シェフ』幻冬舎)を拝読して、三國さんと仲良くしてたつもりだけど、なぁ〜んも知らなかったと思って。

三國 何をおっしゃいますか。阿川さんとは付き合いが長いから、今日はやりづらいなあ(笑)。

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source : 週刊文春 2023年5月25日号