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モンゴルから手紙を送って来日。「これしかない」と覚悟を決めてやって来ました。|鶴竜力三郎

新・家の履歴書 第832回

佐藤 祥子
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(かくりゅうりきさぶろう/本名=マンガラジャラブ・アナンダ。元横綱。1985年、モンゴル・ウランバートル市出身。陸奥部屋所属。2001年九州場所で初土俵を踏み、06年九州場所で初入幕、12年夏場所で新大関に。14年春場所で初優勝し、第71代横綱に昇進。21年3月の春場所中に引退を発表。)

 

 6月3日に「鶴竜引退断髪披露大相撲」を開催します。スーツを着ているのにマゲが付いていると、完全に親方になった気がしない(笑)。早く切りたいんです。今は準備で忙しく、先日は4年ぶりにモンゴルに帰ったところ、新しいビルが建っていたり空港も街並みもいろいろと変わっていましたね。

 そう語るのは第71代横綱の鶴竜親方だ。2021年3月の春場所で現役引退後、横綱の特権として5年間は四股名を名乗れることから、陸奥部屋(元大関霧島)付きの“鶴竜親方”として、後進の指導にあたっている。

 生まれは1985年8月10日、モンゴルの首都ウランバートルです。市内で何度か引っ越していますが、最初は父方のおばあちゃんと叔父、両親と3歳上の姉の6人で住んでいました。当時のモンゴルはレンガ造りが多くて、地震があったら危ないような構造なんですね。マンションとは言えない2DKのアパートで、おばあちゃんと叔父が1部屋に、真ん中のキッチンをはさんで、私たち家族が4人。ここには4歳くらいまで住んでいました。その後、両親が別に家を構えることになり、また同じような間取りのアパートに移りました。

 父はモンゴル国立工業大学の工学部の教授でした。日本の大学教授とは違い、そんなに裕福ではないですよ(笑)。母はもともとはラジオ局で働いていたようですが、結婚して専業主婦になり、のちに鉄道チケットの販売の仕事をしていました。

 僕は子どもの頃から体を動かすのが好きで、バスケットをやったり、テニスをやったり。バスケットゴールがなくても、公園の雲梯で「ここの間にボールを入れてゴール代わりにしよう」などと遊んでいたものです。僕はおばあちゃん子で、夏の間の3カ月間は、ほとんどおばあちゃんとロッジで暮らしていました。市外にたくさんのロッジが並ぶキャンプ地のような場所があるんです。そこで井戸に水汲みに行ったり、寒かったら火を焚かないとならないので、山に入って薪を拾って来る。そのおばあちゃんは百数歳まで長生きし、昨年亡くなりました。コロナ禍でお葬式には参列できませんでしたが……。

最初に覚えた日本語は――。相撲部屋で稽古に打ち込む日々

 毎年、父の大学教師仲間の6、7家族、総勢20人くらいで数週間の旅に出て、田舎の草原で馬に跨ることもありました。

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source : 週刊文春 2023年6月1日号

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