医師・看護師らの大量退職が続き、毎月2億円を超す赤字が出ている東京女子医科大学病院。名門病院の凋落を招いたとされるのが“女帝”理事長・岩本絹子氏(75)の経営方針だ。彼女の公私混同と、元宝塚スター親族企業も関係していた、3つの「疑惑のカネ」について全貌を明らかにする。(全3回の2回目。1回目を読む)
【疑惑のカネ1】直轄組織で水増し・架空請求の疑い
「教授より2倍以上も給与が高い、出向の事務職員がいるらしい——」
学内で広まっていた都市伝説のような話に、“第一の疑惑”が隠されていた。
2014年、岩本氏は東京女子医科大学の副理事長になった際、直轄の「経営統括部」を新設した。これによって、カネ・ヒト・モノ・情報の全てを岩本氏が掌握する体制を作ったのである。
翌年からその経営統括部に、自身が会長を務める至誠会(同窓会)が運営する至誠会第二病院から職員を出向させた。年間最大6人で、19年までの5年間の人件費総額は、実に約2.5億円にのぼる。経営統括部の実状を知る元職員は、当時をこう振り返る。
「出向職員の仕事は、岩本先生の秘書業務と経理業務などでした。元々、女子医大の職員が足りていなかった訳ではないので、本当に彼らが必要だったのか、疑問に感じました」
問題なのは、彼らの給与額である。「至誠会出向者給与戻し入れ 出金票」によると、最も高給な職員には月額150万円が支払われていた(金額は税込、以下同)。一般事務職でありながら、教授クラスの2倍近い破格の待遇である。
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source : 週刊文春