小学校時代、国語の教科書で読んだ物語のなかで、今でも記憶に残っているものがある。戦国時代の実話をもとにした「悲願の橋」(作・佐原皓)という作品だ。調べてみたら、学校図書株式会社から刊行された教科書『わたしたちの国語 五年上』で、1959〜60年と1980〜85年に掲載されていたそうなので、読まれた方もいるかも知れない。

 愛知県の熱田(あつた)神宮ほど近くの精進川に架かる橋の擬宝珠(ぎぼし、欄干の柱につける装飾)に、女文字で刻まれた文章が残されている。そこには、天正18年(1590)、豊臣秀吉の小田原征伐に従軍して死んだ堀尾金助という18歳の息子を弔うために、その母がこの橋を建立した旨が記されていた。その文章に目をとめた旅人に、地元の僧が橋の由来を語るかたちで物語は進んでいく。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2023年8月10日号